設立の背景
さかのぼる平成9年秋、北岳大樺沢で大腸菌群が検出され、その原因は「一時的な登山者の集中による山岳汚染」であると考えられたのです。山梨県は早急に検討会を重ね、北岳大樺沢に仮設トイレを設置しました。旧芦安村は、北岳を始め南アルプス北部の山々の登山基地にありながら村中の人達は奥山への関心は薄く山小屋関係者だけが自分の山小屋を守っているという旧態依然とした山岳山村でした。
山小屋の老朽化や地下浸透式のトイレなど時代に遅れ気味の改善を求める声も大きくなってきましたが小さな行政の地元の動きは鈍く、このような状況を何とかしなければと思う人達の発案で会合がスタートしたのです。
芦安ファンクラブ設立
平成11年2月には、旧芦安村の役場幹部、村議、観光協会などにも声をかけ21人が集まりました。しかしその中での話は、旧芦安村の豊かな自然を大きな価値のあるものとしてとらえている人はあまり多くはありませんでした。現実には、村が何か検討すると、必ず「自然公園法」と「県有地」が立ちはだかるとの意見が多く出されました。南アルプス国立公園は昭和39年6月1日に、南アルプス巨摩県立自然公園は昭和41年4月1日に指定されているためです。
こんな意見が出た。
「南アルプスは地元の山でありいつでも登れる」
「今は都会の人達が村中を素通りして山へ行く」
「都会の人にとって豊かな自然は魅力かも知れないが我々にとって今の山はあまり価値がない」
村民は昭和40年代までは山で生活する人も多かったのですが、薪炭や林業経営が行き詰まり、住民は街の方を向かなければ生活できなくなっていました。地元は急峻な傾斜地がほとんどで産業が育ちにくい状況にあり、村の活性化を考えられないままでした。
新住民も多いこともあり今までにも新しい取り組みも行ったが長続きしない、将来を見据えた取り組みが欲しい。との要望などが出されたのです。
そこで、毎月例会を開き出来るものから取り組んでいくこと、また村行政への提案も積極的に行うことを確認し、南アルプスと旧芦安村を愛する人達であれば、村内外の誰でも入れる会として「芦安ファンクラブ」と決定したのです。
NPO認定の取得
さらに、平成14年、会員の総意を得て、設立総会を開催し、35名の会員をもって「特定非営利活動法人芦安ファンクラブ」を設立する議決をしました。
3月20日、県の指導を受けながら、法人の設立認証申請の関係書類を山梨県知事宛提出し、2ヶ月の公示期間を経過し5月22日に知事から認証通知をいただき、5月29日法務局に登記をしました。
法人化することは、組織が人格を持つこと。
この日をもって、芦安ファンクラブは、法人として成立し、今後は以前に増して責任の重さと、多くの皆さんに愛される「ファンクラブ」として活躍していかなければとの決意を新たにしたのです。
今後に向けて
当クラブの活動の変革は「個人 → 団体 → 行政」へと短時間のうちに目覚しい進展を見せました。このことは、現在のまちづくりや環境保護は、私たち民間と行政が 一体となって、発想から実践までをまさに協働して進めることにより成功に導けることを教えてくれています。
当クラブは、今日までの活動の成果あるいは失敗例を慎重に検証して、今後の活動に生かしてゆくことにより、地域の活性化 と南アルプスの自然保護に寄与してゆきたいと考えております。